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外国人労働者を雇用する会社が、確認すべきこと

外国人労働者を雇用する会社が、確認すべきこと

Ⅰ. 在留資格(ビザ)関連

外国人が日本に滞在するには、在留資格(ビザ)が必要です。
そして、在留資格によって、働くことが出来る在留資格と、働くことが出来ない在留資格があります。

1.在留資格(ビザ)による就労の可・不可の区別

1)就労可能な在留資格(ビザ)
a) 定められた範囲でのみ就労が認められる在留資格
外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、
教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能、技能実習、特定活動

b) 就労活動に制限のいない在留資格
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者

2) 就労不可である在留資格(ビザ)
文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在

3) 資格外活動許可とアルバイト
上記2)の就労が不可である在留資格のうち、留学、家族滞在の在留資格を保有する外国人に関しては、出入国在留管理庁に資格外活動を申請し、許可されれば許可の範囲で就労することが可能になります。
例えば、留学生がアルバイトをする場合に資格外活動の許可を得ると、1週間に28時間以内で、風俗営業などの業種を除いて就労することが出来ます。自社での労働時間に注意が必要ですが、複数のアルバイトを掛け持ちしているような場合には、他社での就労時間を含めた合計の就労時間が28時間以内である必要があります。
尚、上記1)a)の在留資格で在留する外国人が、現に有する在留資格に対応する活動を阻害しない範囲で、当該在留資格に該当しない就労活動を希望する場合にも、資格外活動許可が必要になります。

2.雇用する外国人は、国内に滞在しているか、海外に在住しているか

1) 国内に滞在している場合
i) 在留資格の在留期限を確認
在留期間の満了日が間近かな場合には、在留期間更新許可申請(ビザ更新)が必要になります。
この申請は、期間満了の3か月前から受付けられます。
在留期限が切れている場合は、その外国人は不法滞在となります。就労させれば、不法就労
に該当します。

ii) 保有する在留資格を確認
① 就労可能な在留資格の場合
採用後の業務内容が、外国人が保有している在留資格に該当するかどうかを確認します。
該当しない場合には、在留資格変更許可申請(ビザ変更)が必要になります。
該当するかどうか判断できない場合には、就労資格証明書の交付申請を行うことにより確認できます。
② 就労不可の在留資格の場合
就労資格変更許可申請(ビザ変更)が必要になります。

2) 海外に在住している場
国外から外国人を呼び寄せる場合には、在留資格認定証明書交付申請が必要になります。
外国人が在外の日本大使館・領事館に申請することもできますが、会社が日本の出入国管理庁に
申請することもできます。在留資格認定証明書の交付を受けたら(会社が受けた場合には、
これを海外に在住している外国人に送付)、外国人本人が在外日本大使館・領事館で査証(ビザ)を申請する際に、または、日本の空港等での上陸審査の際に、この証明書を提出することによって、審査がスムースになります。

3. 在留資格の確認方法

在留資格は、旅券(パスポート)および在留カードで確認します。
1) 旅券(パスポート)
日本に上陸した時の上陸許可印と上陸時点の在留資格が記載されています。ただし、上陸後、在留資格が変更になっている場合に備えて、在留カードも確認する必要があります。
また、在留資格「特定活動」の具体的な内容を記載した指定書は、在留カードとともに発行されますが、旅券(パスポート)に添付されますので、旅券(パスポート)を確認する必要があります。

2) 在留カード
在留カードは、日本に中長期間在留する外国人に、新規の上陸許可、在留資格の更新許可、在留資格変更許可などの際に交付されます。

i) 記載事項
氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留資格、在留期間、就労の可否など。
16歳以上は顔写真も表示されます。
記載事項に変更が生じた場合には変更の届出を義務付けられており,常に最新の情報が反映されることになります。

ii) 偽造・変造の確認
偽造・変造された在留カードが多く出回っているようです。在留カードを確認される場合には、出入国在留管理庁のHPに記載されている確認方法を参照してください。


4. 出入国在留管理庁への届出

1) 外国人を雇用した場合
就労資格を有する外国人を雇用した会社は、「中長期在留者の受け入れに関する届出」を提出するよう務めることとされています。

2) 外国人の雇用を終了した場合
就労資格を有する外国人の雇用を終了した場合には、会社は「中長期在留者の受け入れに関する届出」を提出するよう務めることとされています。

3)届出の様式及び方法
法務省のHPに記載されています。

Ⅱ 労働条件通知書・雇用契約書

外国と日本の労働環境は異なっている場合も多く、日本人の常識がそのまま通じないこともありま
す。あらかじめ労働条件通知書を作成し、十分説明をして理解してもらった上で、雇用契約書を締結
しておくことでトラブルを回避することが出来ます。

外国人にも労働基準法その他の労働法令が適用されますので、日本人を雇用する場合と同じように
労働条件を書面で明示する必要があります。
① 労働契約の期間
② 就業の場所、従事すべき業務
③ 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、就業時転換
④ 賃金、計算及び支払方法、賃金の締切日、支払の時期、昇給に関する事項
⑤ 退職に関する事項

特に②の「従事すべき業務」は注意が必要です。外国人によっては、その仕事は労働条件通知書・雇
用契約書に記載されていないから自分の仕事ではない、という場合もあります。事前に仕事の範囲と
業務内容を検討し、決定した上で労働条件通知書・雇用契約書を作成しましょう。
労働条件通知書は、厚生労働省HPにて英語のほかに5ヶ国語(ポルトガル語、スペイン語、中国
語、ハングル、タガログ語)に対応した労働条件通知書が用意されています。日本語の理解が不十
分な場合に利用すると誤解が生じ難くなります。

Ⅲ 外国人労働者と労働保険・社会保険および外国人雇用状況の届出

海外では、労働保険や社会保険を給与から天引きして支払う制度がなく、外国人によっては支払を拒
絶する場合もあります。それぞれの保険の内容を十分に説明し、日本人労働者と同じ内容であり、支
払いは義務であることを納得してもらう必要があります。

1. 労働保険

(1) 労災保険
1人でも労働者を使用する事業主は原則、すべて加入しなければなりません。日本人・外国人あるいは正社員・アルバイト・パートなどにかかわらず加入する義務があります。

(2) 雇用保険
1人でも労働者を使用する事業主は原則、すべて加入しなければなりません。日本人・外国人にかかわらず加入する義務があります。ただし、労災保険とは異なり、勤務時間が1週間に
20時間以上であり、31日以上雇用が継続する見込みである場合に雇用保険が適当されます。

2.社会保険

事業所が健康保険および厚生年金保険等の適用事業所であれば、使用者は日本人・外国人にか
かわらず労働者を健康保険、厚生年金保険に加入させる義務があります。
(1)健康保険
(2)厚生年金保険

3.ハローワークへの外国人雇用状況の届出

外国人の雇用及び離職の場合に、その雇い主である会社は、「外国人雇用状況の届出」をハロー
ワークに提出する義務があります。届出の様式及び方法については、厚生労働省のHPに記載
されています。