BLOG ブログ

再生医療を行う場合に必要な手続きを解説!

再生医療を行う場合に必要な手続きを解説!

京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥先生がノーベル医学生理学賞を受賞されたのが2012年でしたが、再生医療は日々進歩しており、患者さんの期待も高まっています。

以前には、脱毛症が治る、糖尿病や脳梗塞が治るといったエビデンスの乏しい再生医療を提供する医療機関がありました。これは、「臨床研究」であれば届出の必要がなかったからです。しかし、2013年11月に「再生医療等安全性確保法」が成立し、再生医療等の提供には次の手続きが必要になりました。

Ⅰ. 再生医療等の提供に必要な手続き

1.「再生医療等提供計画」を作成する。
2.厚生労働省が認可した「認定再生医療等委員会」に、「再生医療等提供計画」を提出し国の定める基準との適合性の審査を受ける。
3.「再生医療等提供計画」に委員会の意見書を添えて厚生労働省に届出する。
4.届出を受理されると、再生医療の提供が可能になる。

Ⅱ. 再生医療の分類

「再生医療等安全性確保法」では、人の生命及び健康に与えるリスクを基準に、再生医療を次の3種類に分類しています。
1. 第1種:他人の細胞に由来するiPS細胞やES細胞などを使用するハイリスクの医療。
2. 第2種:自分の細胞から一部を抜き出して培養して投与するなどの中リスクのもの。
3. 第3種:第1種、第2種以外の低リスクのもの。
第3種には、大リーグの田中将大選手や大谷翔平選手が受けた「多血小板血漿(PRP)療法」などが含まれます。

Ⅲ.「再生医療等提供計画」とは

厚生労働省のホームページ「再生医療について」で申請書類、添付書類、記載要領が公開されていますので、各医療機関で作成することは可能です。
以下がその内容になります。
「再生医療等提供計画」の主な記載事項
 イ)提供しようとする再生医療等の分類とその判断理由
 ロ)提供しようとする再生医療等の内容
 ハ)再生医療等に用いる細胞の入手の方法
 二)特定細胞加工物の製造及び品質管理の方法
 ホ)再生医療等に用いる未承認又は適応外の医薬品又は医療機器に関する事項
 ヘ)再生医療等技術の安全性の確保等に関する措置
 ト)細胞提供者及び再生医療等を受ける者に対する健康被害の補償の方法

「添付書類」
 1)提供する再生医療等の詳細を記した書類
 2)医師の略歴書(研究に関する実績がある場合には、当該実績を含む)
 3)再生医療等に用いる細胞の提供を受ける場合にあっては、細胞提供者または代諾者に対する説明文書及び同意文書の様式
 4)再生医療等を受ける者に対する説明文書及び王位文書の様式
 5)再生医療等提供計画に記載された再生医療等と同種または類似の再生医療等に関する国内外の実施状況を記載した書類
 6)再生医療等に用いる細胞に関連する研究を記載した書類
 7)特定細胞加工物概要書
 8)特定細胞加工物標準書
 9)衛生管理基準書
10)製造管理基準書
11)品質管理基準書
12)再生医療等製品の添付文書等
13)再生医療等の内容をできる限り平易な表現を用いて記載したもの
14)個人情報取扱実施規程
15)その他

Ⅳ.「認定再生医療等委員会」とは

再生医療等に関して識見を有する者から構成され、厚生労働大臣の認定を受けて設立されます。
そして、再生医療等を提供しようとする医療機関から提出された再生医療等提供計画について、再生医療等提供基準に照らして審査を行い、再生医療等の提供の適否及び提供に当たって留意すべき事項について意見を述べること等、再生医療提供機関を監督するような業務を担います。第1種及び第2種は特定認定再生医療等委員会に、第3種は認定再生医療等委員会に提出します。

委員会のリスト及び各委員会の詳細(体制、手数料、委員名簿、委員会規程 等)は、上記厚生労働省のホームページに公開されています。自院内の審査のみを受け入れ、外部の審査を受け付ない委員会(大学設置の委員会の多く)もあり、審査手数料、審査の頻度や審査のスピードなども千差万別です。

当然のことですが、第1種の審査が最も厳しく申請が却下されることもしばしばあります。第2種、第3種は、リスクが下がる分だけ審査の難易度も下がるわけですが、申請書類作成に当たっては、厚生労働省が発信している事務連絡等に記載された記載要領を理解し、正しい形式の「再生医療等提供計画」を作成し、求められている添付資料を提出することが肝要です。

Ⅴ. もっと手軽に再生医療の届出をしたい

厚生労働省のホームページ「再生医療について」に必要事項はすべて記載されているのですが、実際に添付書類を含む大量の書面を作成するには、膨大な手間と時間が必要になります。また、そのように手間をかけて作成された書面であっても、委員会の審査を通らない、厚生労働省・厚生局に受理されないという場合もあります。

この再生医療に関する届出に関して、法律により行政に提出する書類の作成を認められている行政書士にサポートを依頼することができます。再生医療の内容に関する医学知識や安全性・妥当性のエビデンスに関する学会発表や学術文献などが必要になりますので、これらの知識を有する再生医療届出に詳しい行政書士にご相談されると、書類の作成や委員会との折衝など、届出受理までの手続きをスムースに行うことができます。